漫画のストーリーの作り方で読み切りタイプはページの振り分けから
どんなに絵の上手いプロの漫画家でもいきなり、
下書きも描かないで「ペン入れ」の作業に入る人はいません。
ところが・・・
それに近い光景を目の当たりに見てしまった事が、私にはあります。
それは1977年の事でした。
池袋にある西武百貨店で「手塚治虫展」というイベントが、
10日間ほど開催されたのです。
高校生だった私とH君は学校の帰りに、駅で待ち合わせをして毎日、
そのイベント会場を訪れていました。
そして、会場内には大きなガラス窓のある小さな仕事部屋があって
そこで、本物の手塚治虫先生が原稿用紙に絵を描いていたのです。
もちろん、プロの漫画家が原稿を描いている様子など
生まれて初めて見たのでした。
原稿用紙には枠線・コマ割りと吹き出しだけが、エンピツで描かれていました。
そして手塚治虫は「下書き」を始めたのですが、
1ページをものの1分ほどで完了してしまったのです!
なぜなら手塚治虫先生の「下書き」とは、
顔の部分に当たる丸しか描かなかったからです!
丸だけ描いて、手塚治虫先生の名作である「ブッダ」の原稿用紙に
いきなり「ペン入れ」を始めた時はそりゃあもう、私もH君もぶったまげました!
読み切り漫画はページの割り振りからノートに書く
トップページにも描きましたが私が1986年に「少女漫画」として描いた
「あの家にかえりたい」という作品があります。
これの第一稿の絵コンテは1985年に28ページの作品として残っていました。
ですが、アイディア帳にはキチンとしたシナリオが残っていませんでした。
なので画像ではなくこのページに私が当時どうやって32ページの
「読み切り漫画」のページの振り分けをしたのかを、直接書き込んで行きます。
1:表紙
2:あの家に帰りたいの夢
3:中学校の文芸部の桂子
4:上村君と二人きり
5:上村君から告白される
6:逃げようとする
7:転ぶ
8:団地で夕食
9:お父さんの話はするな
10:テレビのニュースで遭難
11:桂子が6才の回想シーン
12:お母さんはくやしかった
13:お母さんはお父さんを憎んでいる
14:公園で上村くんに相談
15:あの家にかえるのはムリ
16:文芸部の雑誌を読むお母さん
17:狛江に行く話を持ちかける
18:意外にもお母さんが承諾してくれる
19:狛江の町並み
20:あの家の中に入る
21:あの家の中
22:どうしてなつかしくないんだろう
23:お母さんが帰ろうとすると写真が出てくる
24:お母さんがお父さんの写真を燃やす回想シーン
25:桂子はビンタで写真は破られる
26:お母さんのバカ
27:お母さんがガラス戸を割る
28:ガラス戸を割り続ける
29:ごめんねお母さん
30:帰り道と中学
31:上村くんと付き合う事に
32:上村くんのことをずっと忘れない
・・・というわけでこんな感じでまずそのページに描くべき事を、
ノートに書いて割り振って行きます。
「あの家に帰りたい」のラストシーン
それではトップページに26・27・28・29の4ページ分は載せましたので
最後のラストシーンの30・31・32ページの画像を公開します。
PS:このページは「起・承・結」で終わっているので面白くない事が、
お分かりでしょうか?